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サラダボウルな本棚

熊本大学情報電気電子工学科
井上 大嗣


 小難しいハードカバーの隣に少女漫画が並ぶ。

 一見してアンバランスな様相を初めて目の当たりにしたのは、つい2月前のことだった。他でもない、私の自宅の本棚である。

 私の両親はともに大層な本好きで、私も、自然幼いころから本を良く読んだ。本とはひとくくりに言っても絵本や雑誌のようなものから広辞苑にいたるまであって、私にとっては「本」とは文字のみで構成されたものという訳ではなかった。絵本に始まり小説、新書、史書を経由して哲学じみたSFに至っている。これまで、ジャンルの移り変わりはあれど、本を読まない時期はなかった。

 ところで、先人の残すように、本は勝手に自己増殖していく代物であるようで、昨年、熊本に連れてきた30冊ほどの本達は、既に200を超えている。古本屋巡りという、新たな趣味のせいでもある。

 2月前に購入した本棚は、文庫本が250冊ほど入る大きなものであったが、考えが甘かったようで、埋まるのは時間の問題に思えた。そう、ここ数年の私の好物であるハードカバーSFは、文庫本の数倍もの場所をとるのだ。どうしたものかと考えること数刻、出た答えは、読む頻度で本を並べるという事だった。このやり方は、実に私好みの結果をもたらしてくれた。ジャンルも作者も関係なく並んだ本棚は、私のように気の赴くまま乱読するには都合がよかった。

 好物のSFは片手間に読むには手に余る代物ばかりであるし、気分転換に詩集はもってこいだ。そして、疲れた頭には漫画の気楽さが心地いい。そんな私が今悩んでいるのは、古本屋で見つけた竹取物語の居場所である。
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