忍者ブログ

LITECO

HOME > ARTICLE > 記事一覧

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

日本文学100選を編む。アンケートのお願い。

日本文学100選を編む―LITECO―  

「日本文学 100選」とGoogleで検索しても、DSのソフトしか出てこない。しかも作家が偏っている。だったら、LITECOで作ってしまおうじゃないかということで、この企画が始動しました。



LITECOは文学を志す学生で創るサイトですが、この企画に関しては学生以外の皆様も参加することができます。簡単なアンケートですので、ご協力ください。



・アンケートへの回答は一人一回まででお願いします。

・回答いただきました個人情報などは、アンケート以外での目的で仕様することはありません。





ご協力いただける方は、こちらのリンクからご回答ください!

日本文学100選を編む-LITECO-
PR

特集☆院生インタビュー「本、そして文学との出会い」

前回(「院進学について」)に引き続き、院生インタビュー大二弾!
今回は、森迫さんとの本や純文学との出会いを聞いてみました。


伊藤
次は、文学に関しての質問をいたします。大雑把な質問になるんですけど、記憶している限りで、自分が一番初めて読んだ本、自分の本との出会い、文学との出会いというものを教えていただけませんか?

森迫
それは、意識的に何か読み物を摂取しようとしてはじめたところ、ということですか?

伊藤
そうではなくて、本を読もうと思ったきっかけですね。例えば僕は、小学校二、三年くらいのときに怪傑ゾロリとか、ズッコケ三人組とかを読んだのが、読書体験のはじめということになるんですけど……。

森迫
はいはい、なるほど。

伊藤
僕は、そこからいろんな本を読んでみようと思ったんですよね。そういった類の経験をお聴きしたいと思っています。

森迫
小学生の頃から掘り起こすんだったら、『地獄堂霊界通信』シリーズ。悪がきシリーズっていえばいいのかな。確か作者は、香月日輪って言う人で、『妖怪アパート』シリーズ書いて、最近、人気だった作家さんですかね。

伊藤
その本は、どこで読まれてました?

森迫
学校の図書室でした。エンターテインメント作品で、イラストも入ってましたから、読みやすかったんですよね。妖怪と人の心の何かを結びつけるようなエンターテインメント作品、非常に面白かった覚えがあります。そこから色々と探し始めてなぜか『十五少年漂流記』を読んだりもしました。もうどんな話だったか覚えてないけど、『海底二万マイル』も読んだ覚えがありますね、小学生のときに。

伊藤
僕はそういう冒険小説系を読んだことがなくて……。いつかは読みたいと思ってるんですけどね。

森迫
本を読んでみようと思ったきっかけは、やっぱり楽しかったからですね。

伊藤
やっぱり、そうですよね。……それで、そういう本と、文学、所謂「文学」の方というか、純文学というのは、また雰囲気が違うじゃないですか。

森迫
そうですね。

伊藤
純文学、例えば実篤だったりとか。そっちの方面に興味を抱いたきっかけを教えていただけますか?

森迫
ううん……(考え込む)。

伊藤
あ、でもそうか、何を以て……。

森迫
そう、何を以て、所謂「文学」とするのか。

伊藤
本が好きなら、本を読むだけって言う人がたくさんいるじゃないですか。今流行っている作家で言えば、宮部みゆきとか。

森迫
東野圭吾とか。

伊藤
そうですね。

森迫
そっちではなくて……?

伊藤
「自分は純文学が好きだ!」という気持ちをお持ちだと思うんですよね。で、それはやっぱり、僕らが勉強したり、研究の対象にしたりすることじゃないですか。その方面に向かおうと思ったきっかけをお伺いしたいです。

森迫
それなら、レポート書いたのがきっかけですかね。

伊藤
もう、大学に入ってからですか?

森迫
そうですね。だから、文学については、意外と何も知らない状態で入ってきたんですよね。高校生のときに橋本紡のライトノベル『半分の月が上る空』を読んで、だけど、古典の授業も面白くて。じゃあ、自分が面白いて言われてるルーツってなんなんだろう、とうことしか考えてなくて文学部に入ってきたので。

伊藤
あー、「面白い」ですか。

森迫
そう、「面白い」。で、じゃあその文学作品が残ってるっていうのは、何かしらやっぱりその時代その時代で面白かったりしたから残っていったんだという風に思って。じゃあ、人々は何を残して来たんだろう、どうして残して来たんだろう、みたいな。実際に、自分が読む対象としての文学作品んを選んできたのは、例えば概論の授業で夏目漱石の『坊ちゃん』についてレポートを書いたときに、「あれ、これは読みやすいぞ!」と思って。

伊藤
そうですね、あれはすごく読みやすいですね。

森迫
気に入らない奴を坊ちゃんがぶん殴るみたいな話じゃないですか(笑)

伊藤
そうですね(笑)

森迫
あ、これも文学かと思って。レポート書いたら、意外にいけたんですよ。だから「あ、文学も良いな」と。

伊藤
『坊ちゃん』ですか。『坊ちゃん』は読みやすくて良いですよね。僕、漱石は『虞美人草』とかで躓いちゃって。だから、やっぱりギャップがあるんですよね、文学の世界って。そこの、難しいところを究められる人っていうのは、何が違うんですかね(やや話がそれる)。

森迫
経験じゃないですかね。

伊藤
経験、ですか。あれもやっぱり、浸透してくると、読みやすくなってくるんですかね。

森迫
いやあ、『虞美人草』は自分もきつかった覚えがあるんですよね。前半部分の感じとか、「いや、その結婚は本当の~じゃない」みたいな風になって、「ダメです」って言われたら藤尾が発狂して死ぬみたいな。なんだこれは、みたいな。やっぱり、好き嫌いはあっていいんじゃないかなと思います。

伊藤
そうですよね、やっぱり好き嫌いが関わってくるところなんですかね。

森迫
ただ、やっぱりなんでこの作品が残ったんだろうということを考えないと。例えば、随分むかしの研究者なり、評論家なりが「面白い」って言ってるけど、自分は全然面白くないなと考えている。そうしたら、そこで「なんでだろう」って考えられますよね。

伊藤
面白くない理由を?

森迫
そうです。で、もしかしたら面白くないと思ってたけど、「こんな読み方があるのか!」という発見と新しい出会いができるかもしれない。

伊藤
なるほど。単純に表層だけではなく、それが表しているもの、みたいなものも読み取れるかもしれませんね。深層にあるもの、と言えばいいでしょうか。

森迫
うん、そういうのもありですよね。

伊藤
例えば、僕は授業で梶井基次郎の『檸檬』をやったのを覚えてるんですけど。『檸檬』って、一読しただけじゃ何も分からかったんですよね、当時の僕は。でも、先生の話を聞くと、「こんな読み方もあるんだ」という発見がある。それと似ているんですかね?

森迫
そうですね。で、また、読む時期が違っても、違うものがありますし。

伊藤
あー、そうですね。僕はこの前、『人間失格』を再読したんですよね。確か、三回目です。そうるすと、やっぱり高校生のときに読んだ感想とは違うなあと感じました。見る視点が変わった、と言いますか。

森迫
自分も、結局のところは文学には、面白さから入ったんで。直観的な面白さから。

伊藤
そうですよね、やっぱり文学って面白いですもんね。

特集☆院生インタビュー「院進学について」

特集☆院生インタビュー第一弾!
本日は主に「院進学について」聞いた箇所をまとめてあります。
院に進学しようと思っている人、はたまたまだ迷っている人は是非読んでみてください!



伊藤

よろしくお願いします

森迫
よろしくお願いします

伊藤
それでは、さっそく最初の質問です。どうして、院に進学しようと考えたのかというこにについて、お伺いしてもよろしいですか?

森迫
まあ、色々理由はあるんですけど。学部時代にレポートとか書いてるときに、文学作品を読んで、それを、自由に自分で論じることができる、という課題を与えられたときに非常に面白かった、というのがありますよね。それで、その流れで卒論まで書いたときに武者小路を選んだわけですけど、この分野でまだ自分にはできることがあるっていう風に思って。この卒論だけで終わったら勿体ない、みたいな。

伊藤
消化不良みたいなことですか?

森迫
消化不良というよりは、まだクオリティをあげられるということが一つ。もう一つは、コースが高校国語のコースなので、やっぱり高校生とかに向けて自分が文学を語れる人間にならないといけないと思って。やっぱり、文学は活かせないといけないと思って。その部分が自分はまだ不徹底だなと思っていました自分の中で文学を高めるために、院に進学したという感じです。

伊藤
なるほど。じゃあ、将来はどうされるんですか? もう、今年卒業……

森迫
修了?

伊藤
ですよね、修了になりますよね(冷や汗)。もう、その後はどうされるとか決めてらっしゃるんですか?

森迫
もう、教採を受けるつもりなので。

伊藤
なるほど、やっぱり教師になって、自分の培ったものを、届けるみないな感じになるんですね……ありがとうございます。

さて、次の質問にいきます。LITECOを見てくれている人は学部生が多いと思うのですが、その中には院に進学しようと思う人がいると思うんですよね。そこで、院に進学するために必要なことを教えていただきたいと思います。物質的なものも、心構え的なものも含めて。

森迫
あの、進学したいと思えば進学して良いと思うんですよ(笑)ただ、日文の方の院に進学するんだったら、修士論文八万字なので。

伊藤
八万字ですか(苦笑)

森迫
(卒論の)倍書かないといけないので。

伊藤
そうですよね……。

森迫
スキルとしては、文章をしっかりと書けるスキルが必要ですね。

伊藤
八万字ですもんね。

森迫
まあ、一度卒業論文を経験してからの二年間というのは、自分がしっかり勉強すれば濃密な期間になるので。例えば、一年生の終りで、タームペーパーを出さないといけないんですけど……

伊藤
タームペーパーと言うのは?

森迫
中間報告みたいな

伊藤
ああ、なるほど。

森迫
それが、最低一万字なんですけど。

伊藤
一万字ですか?!

森迫
でも、同じ院の学生とも話してたんですけど、二万字いったんですね。

伊藤
あー!(驚く)

森迫
なんで卒論の時に、あんなに苦しんだんだろう、みたいに思ったんですよね。

伊藤
二万字……苦労せずにですか?! 書きたいことを全部詰め込んだら、二万字に?

森迫
まあ、演習の時の発表とかの時の、原稿とかをまとめた感じなんですけどね。でも、二万字いったので。だから、一年間でかなり力が付くと思いますよ。やる気があればつく。だから、そこはあまり心配しなくてもいいかなと。

伊藤
なるほど。

森迫
あと、まあ心構えとかもいろんなこと言う人がいるんですけどね。そんな大層なものは必要ないって言う人もいたり。ただ、自分はどちらかといえばストイックにやりたい方なので。自負と言うか、院でこういうことをしっかりと勉強して、何か、こう、やってやるぞ! みたいな。

伊藤
意気込み、みたいな。そういうのがあるといいんですかね。

森迫
やる気は絶対に必要だと思います。やる気が無いと、何か言い訳を作ってしまう。これ、できるんですよ。言い訳つくって「時間がなかった」みたいに言うことは。できます。でも、それだと中身が伴わない。

伊藤
そうですね。

森迫
もし院に進もうと思うのであれば、自分の研究に対するやる気、というか。

伊藤
やっぱり、好きだかっていうか、それが好きだからやるっていうか。

森迫
そう、好きだから、面白いから。もっと言えば、こう、なんというか、野心というとアレですけど。

伊藤
これで自分は何かを変えてやる、という感じですか。

森迫
先行研究が色々あるわけじゃないですか。そこに自分がどうにかして食い込んでやるぞみたいな。

伊藤
なるほど野心ですか。野心……。

森迫
野心。

伊藤
(少し話変わりますけど)僕、結局院に進学するために、その壁が分からないんですよね。入試のときには何があるのかみたいなことをお聞きしたいんですけど。

森迫
入試ですか。事務室にいけば、過去問とかはもらえるんですけどね。えーっと、基本的な文学史。だから、先生が変わったからどうなるかわからないですけど、概論で説明されたような文学と、語学の知識。だから、問題としては例えば、文学だったら「次の項目のうち、四つから三つを選んで知るところを書け」って。志賀直哉について! とか。そのときは、志賀直哉について知っていることをひたすら書く。だから、概論の勉強をしっかりやっていればそんなに飛び抜けて、跳躍した内容というのは今までなかったので。

伊藤
どちらかというと、やっぱり知識が要求される?

森迫
知識ですね。
伊藤
網羅的な。

森迫
そうですね。

伊藤
志賀直哉についての知識と言われると、僕はあまり……。

森迫
まあ、基本事項とか一般的に言われいてる文学史的な事項で良いので。だから、しっかりと概論の授業を受けて、自分で勉強して。例えば語学だったら、「方言周圏論とは何か」みたいな。

伊藤
うわあ、難しいなあ。

森迫
まあ、その過去問とか、概論が今どうなってるか分からないですけどね。井原先生のときは、日本語概説の教科書の、大事だと言われたところを勉強しましたね。

伊藤
なるほど……。色々勉強になりました、ありがとうございます。

森迫
あ、あと崩し字は読めた方がいいですよ(笑)

伊藤
うわー、そう、崩し字なんですよね。僕、全然崩し字読めなくて。未だに慣れなくてですね……。

(続く)



次回は森迫さんの読書体験、文学の端緒に関する部分をまとめます!

特集☆院生インタビュー まとめ

特集「院生インタビュー」のまとめページです。リンクから、各回の記事へ飛ぶことができます。


第一回
特集☆院生インタビュー「院進学について」

第二回
特集☆院生インタビュー「本、そして文学との出会い」

第三回
特集☆院生インタビュー「武者小路実篤について」

第四回
特集☆院生インタビュー「学部生時代との違いとは?」

第五回
特集☆院生インタビュー「文学とは何か」

第六回
特集☆院生インタビュー「文学は社会にどう資するか」

第七回
特集☆院生インタビュー「最後の質問と、フリートーク」

文学と私

法政大学文学部日本文学科
喜多由吏



 幼児は大人に比べて想像力に長けているという。幼少期の私も例外ではなかった。台所の隅の暗闇の中にお化けの姿を見たり、雨模様の空に雷様の姿を見たりしたものだ。そんな風であったから、本を開けばすぐに主人公に感情移入し、本の世界の中に入っていった。その楽しさが忘れられず、私は文学部日本文学科を志望した。今はもうお化けや雷様は見えなくなってしまったが、本の中の世界には今も楽しませてもらっている。

 今の話が文学と何の関係があるのかと思っている方もいらっしゃるだろう。しかし私は文学の楽しさは他人の創作した世界を覗き見るところにあると思っている。だから幼少期の私が感じた楽しさこそが、文学の醍醐味であったと考えているのである。

 ところで、文学とは何であるか。辞書で調べると“言語を用いた芸術”とある。言語というのは我々にとって最も身近なものである。朝起きればおはようと言うし、腹が立てばチクショウと叫ぶ。こうして当たり前のように溢れている言語を文章という芸術作品に仕上げることで、様々なことを伝達できるようにする。それが辞書的な意味での文学である。この点から私は、文学とはもっとも道具の要らない芸術表現だと考える。また、文学とはあらゆる手段で後世まで残すことが出来る。土器に刻まれた文字や源氏物語などの古典文学が現在でも閲覧可能である状況からも分かるであろう。もっと壮大な表現をすれば、自分が生きた証を残すことができるのだ。それゆえに私は、文学とは一種のアイデンティティとしても言い得るものだと思う。

 今挙げたものは、あくまで文学を専門的に学んでいないものの持つイメージに過ぎない。私は文学部で、文学への理解を深めたいと思う。専門的な知識が不可欠であるとは思わないが、文学が好きな自分にとって専門知識は必ずや生きる上でエッセンスとなるであろう。しかし文学とは何も選ばれた者だけが学べるものではないのだ。文学についての知識がなくても、文学を志す意思があれば、そこが文学への入り口になると私は思う。難しそうだからとなんとなく敬遠している人も、とりあえず入り口から覗いてみてはいかがか。意外な楽しみに出会えるやもしれない。